「この子らを世の光に」。昭和21年、知的障害児、戦争孤児の子供たちのため、滋賀県・近江学園の開設をはじめとする児童福祉に一生を捧げたクリスチャンである糸賀一雄さんの言葉です。
この言葉の源流はマタイ福音書5章
14節の「あなたがたは世の光である。」とされていますが、虐げられ、疎外されてきた人々を、その悲しみ、苦しみから解放されていった主イエスが、当時の
社会においては権力や影響力とはまったく無縁の者として生きてきた弟子たちに与えられた言葉で、その後にこう続けられます。「あなた方の光を人々の前に輝
かしなさい。」
この世に命を与えられた私たちがその人生を生きる意味、喜び、目標、抱く夢であり希望、そしてその輝きといった、世を照らす光の様々な意味を与えてくれるこの御言葉は、クリスチャンに対して同意義に与えられ、私たちの信仰に限りない希望を抱かせてくれます。
糸賀一雄さんは「この子たちを世の光に」という言葉について、「精神薄弱児の生まれてきた使命があるとすれば、それは『世の光』となることである。」と
語られ、そして続けられます。「謙虚な心情に支えられた精神薄弱な人々の歩みは、どんなに遅々としていても、その存在そのものから世の中を明るくする光が
でるのである。精神薄弱な人々が放つ光は、まだ世を照らしていない・・」
世に対して謙虚に懸命に生きる人々の光、その輝きが、つまりは世の希望であり世を照らし出すものとなる、という主の御心、クリスチャンの抱くその夢はいまの時代でも変わらず遠い地点にあります。
愛する、一人一人の、そして私たちの代え難き美しき光が、互いに祈り支え合う中で輝きを放つときが必ず来たることを祈りのもとに信じ、追い求めて歩み続
けることのできる恵みの元に私たちはあります。主イエスと私たちの旅は終わることがなく、その夢は果てることがなく、永遠に抱き続けることのできる恵みが
そこにあるはずです。