上を目差すということは素晴らしいことです。そのために努力することも大切です。しかし、それで人生が決まるわけではありません。マルチン・ブーバー(哲学者)は、人生は出会いで決まると言った。出会いによって人生は逆転する事があります。
ヤコブは上を目指し必死に生きていました。生き方も自己中心で、ずるがしこい人でした。ある時に自分の兄を騙し、病の床にある父親を欺いて、兄が相続する
ことになっていた祝福を横取りしました。兄の怒りをかったヤコブは逃亡生活を始めます。上を目指すために祝福を勝ち取ったが、現実は祝福どころか、不安
と、空しさ、孤独と後悔、石を枕にして寝なければならない状況にいました。
あるときヤコブは夢を見た。それは「先端が天まで達する階段が地に向かって伸びており、しかも、神の御使いたそれを上ったり下ったりしていた。」(28:
12)その夢では階段は上(天)から下(地上)に向かって伸びていた。そして、主がヤコブの傍らに立って言われた。「見よ、わたしはあなたと共にいる。あ
なたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない」(28:15)神
は天から降りて来られ、ヤコブに語りかけてくださった。
ヤコブは神に出会えるような人物ではありません。家族を騙して祝福を奪い取った悪い人間です。しかし聖書は、神との出会について、人間の努力や行いによっ
て出会えるものではないと言います。それは、神の一方的な憐れみによってのみ出会えるのです。ヤコブの人生は上から下へ落ちていきました。しかし、そこに
神の一方的な救いがありました。ヤコブは恐怖と不安で孤独だった人生が神の救いの恵みを体験したことによって「ここは神の家だ」「ここは天の門だ」と、本
当の祝福の喜びを叫んだのです。まもなくクリスマスです。それは救い主イエス・キリストが、私たちの罪の救いのために、天から地に降りて来られたのです。