主日礼拝メッセージ                                                                        2022年09月25日

真の豊かさとは?
  

澤田猛神学生

東京バプテスト神学校

ルカによる福音書12章13-21節
「自分のために富を積んでも、
神の前に豊かにならない者はこのとおりだ。」


  イエス様が大勢の群衆を前に話しておられた時に、群衆の一人が遺産相続の調停を頼みに来ました。イエス様は彼に「どんな貪欲にも注意を払い、用心しなさい。有り余るほどの物を持っていても、人の命は財産によってどうすることもできないからである。」と言われ、「愚かな金持ちのたとえ話」をされました。

 ある年に、ある金持ちの畑が豊作となり、いろいろ思い悩んだ末に穀物倉の改築をすることにしました。しかし神は、「愚か者よ、今夜、お前の命は取り上げられる。お前が用意した物は、いったい誰のものになるのか。」と言われました。何故、この金持ちは愚か者と言われたのでしょうか?

 第1に、この金持ちは、人は誰でもやがて『死』を迎えるということを全く考えていませんでした。私たちは、この世では『死』を迎える存在であることを自 覚し、自分の死の問題に対する備えをしておかねばなりません。第2は、自分のことしか考えない“自己中心的な生き方”をしている点です。この年の豊作も、 彼や小作農たちが汗して得たものではありますが、そこには神様に感謝するという態度は全くみられません。彼は神を知らなかったのです。したがって富の用い 方にも問題が出てくるのです。第3は、神は天地万物を創造された方であり、それ故、万物は神のものであり、私たちの命も神のものであるということを知らな かったことです。さらに、財産や名誉、地位、家族・・・なども全て神のものであって、私たちはその管理を神様から委託されているのだという認識がなかった のです。だからイエス様は、「人の命は財産によってどうすることもできない」と冒頭で宣言されたのです。

 イエス様は最後に「自分のために富を積んでも、神の前に豊かにならない者はこの通りだ。」と 語られました。「神の前に豊かになる」とは、私たちが神を認め、この世の富よりも神様を第一とする生き方のことです。主イエス様の十字架と復活によって与 えられた神様の救いの恵みを信じ、それに与って神様と共に生きるときに、結果として『貪欲』からも解放された、希望と平安のある新しい生き方ができるこ と、これこそが「真の豊かさ」なのです。