エジプトを脱出し荒野の生活を40年間したイスラエルの民が、いよいよ神が約束してくださったカナンの地を目前にしたとき、主はモーセに言われた。「人
々を遣わして、わたしがイスラエル人に与えようとしているカナンの土地を偵察させなさい」(13:2)。モーセは12人を選び、綿密にその土地と住民を調
べてくるように指示をした。12人の偵察隊は40日に渡って自分の目で確かめて帰ってきた。そしてモーセと民たちに報告した。神が約束してくださった土地
は大変豊かで素晴らしい。だが、そこには力強く、大きな人々が住んでいて、自分たちがいなごのように見えるほどであった。そして12人の内の10人は約束
の地に入るのは危険で絶対に無理だと判断した。
これを聞いた民が騒ぎだし、我々は前進する事も出来ず、このまま荒野で生活するのか、それともエジプトに戻ってまた奴隷として仕えるか。完全に行き詰っ
たのです。すると、2人の偵察者、カレブとヨシュアが立ち上がって民を静めて言った。「断然上って行くべきです。そこを占領しましょう。必ず勝てます」
(30)。この二人も恐怖を感じなかったわけではなく、彼らと同じように感じ思ったでしょう。しかし、この二人は自分の思いよりも、神の約束に信頼したの
です。自分の思いを神の思いに従わせたのです。思いが変われば、気持ちが変わり、それが態度に言葉に現れるのです。
パウロは言った。「あらゆる思惑をとりこにしてキリストに従わせなさい」(二コリント10:5)。思いは気持ちを変えるとは、私たちのあらゆる思いを、
神に従わせる事なのです。神を信じる者にとって、神を信じないことは間違いです。私たちも目の前に立ちはだかる現実が大きく見え、自分がイナゴのように小
さく無力のように見えてくるときがある。そして信仰の歩みが萎縮し、気が付くと神から遠ざかり、現実に飲み込まれてしまっている。どんな時にも、神の約束
の御言葉には力がある事を信じ、そこに自分の思いを従わせていくとき、自分がイナゴのようであっても、現実に向かっていくことが出来る。そこで初めて世に
勝つ者とされるのである。「だれが世に打ち勝つか。イエスが神の子であると信じる者ではありませんか」(一ヨハネ5:5)。