【アドベント第3週・主日礼拝 】                                  2011年12月11日 

 『下へ向かう生き方』

創世記28章10-17節

山岸 明牧師


 上を目指すということは、素晴らしいことです。また、努力する事も大切です。でも、それで人生そのものが決まるわけではありません。哲学者であるマルチン・ブーマーは、人生は出会いで決まると言いました。出会いによって人生は逆転する事があるのです。

 ヤコブは自己中心で、ずるがしこい人でした。ある時に自分の兄を騙し、病の床にある父親を欺いて、兄が相続する事になっていた祝福を横取りしてしまいました。兄の怒りをかったヤコブは逃亡生活を始めます。祝福を勝ち取ったが、現実には祝福どころか、不安と、空しさと、孤独、石を枕にして寝なければならないという状況の中にありました。

 あるときヤコブは夢を見ました。それは「先端が天まで達する階段が地に向かって伸びており、しかも、神の御使いたちがそれを上ったり下ったりしていた」(28:12)。その夢では階段は上(天)から下(地上)に向かって伸びていたとあります。そして、主がヤコブに仰せられた「見よ、私はあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束した事を果たすまで決して見捨てない」(28:15)神は天から降りて来られ、ヤコブに語りかけてくださったのです。

 ヤコブは神様に出会えるような人物ではありません。家族を騙して祝福を奪い取った悪い人間です。しかし聖書は、神様との出会について、人間の努力や行いによって出会えるものではないと言います。それは、神様の一方的な憐れみによってのみ出会えるのです。ヤコブの人生は上から下へ落ちていきました。しかし、そこに神の一方的な救いがありました。ヤコブは恐怖と不安で孤独だった人生が神様の救いを体験したことによって「ここは神の家だ」「ここは天の門だ」と、本当の祝福の喜びを叫んだのです。クリスマス、それは救い主イエス・キリストが、私たちの罪の救いのために、天から地に降りて来られたのです。


 
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