【主日礼拝−メッセ−ジ要約】 （聖霊降臨記念） 2004年5月30日
メッセージ 高橋淑郎牧師
ここにバルティマイと呼ばれている視覚障害者がいます。道端に座って物乞いをすることで、その日暮しをしていました。見たところまことに気の毒な身の上です。しかし、何も持っていないどん底の暮らしの彼ですが、ひとつだけ決して手放していないものがありました。神への信仰です。「ダビデの子よ、わたしを憐れんでください。」と主イエスを呼び求めました。「ダビデの子」という呼びかけはイエスを約束された救い主と信じていた証です。聖書はダビデの子孫から真の王の王であるキリスト、救い主がお生まれになると預言していますが、果たしてダビデの末裔であるヨセフの許婚マリアを通してイエスがお生まれになりました。この方こそ救い主キリストです。バルティマイの肉眼はふさがれていましたが、霊の目は誰よりもイエス・キリストをはっきりと認めることができました。だから、「ダビデの子よ、わたしを憐れんでください」と呼び求めることができました。
その声を聞いたイエスは立ち止まって、「あの男を呼んで来なさい。」とお命じになりました。人々は、彼に、「安心しなさい。立ちなさい。お呼びだ。」と言いながら、道を開いてくれました。
「何をしてほしいのか」と言うイエスの問いかけに、彼は率直に願い出ます。「見えるようになることです。」と。すると、主イエスは、｢行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。｣と祝福してくださいました。目、開かれた彼は、その後どうしたでしょうか。イエス・キリストに従う人生を選び取ったのです。
主は今日もわたしたち一人一人の祈りにじっと耳を傾けて、御そばに呼び寄せて、「何をしてほしいのか」と語りかけてくださいます。あなたの人生にとって大切なことは、これまでの生活がどのようなものであったにせよ、イエス・キリストの救いに与ったこれからの人生はもっと大切な意味を持ちます。あなたもバルティマイと共にこの後、主の弟子に加えられ、主に従う者となることが何よりも大切です。
メッセージ 高橋淑郎牧師
今の劇の意味がお分かりになったでしょうか。今から２千年の昔、イエス・キリストが復活した後４０日の間、弟子たちの前に現れ、復活のからだをお示しになった後、天に昇ってから１０日ほど経った「五旬祭」というお祭りの日、神である聖霊がエルサレム市内に集まって祈っている弟子たちの上に降り、彼らを清めて、いろいろな他国の言葉でイエス・キリストの福音を語らせてくださいました。それによって、３０００人ほどの人が救われてバプテスマを受けました。こうしてこの地上にキリストの教会が誕生しました。そういう意味です。昔は月の満ち欠けで暦をつくっていましたので、今も月の満ち欠けでその日を計算すると、今年はちょうど今日という日になります。
そのようなわけで、今日は全世界のキリスト教会にとって記念すべきめでたい誕生日です。とりわけ仙川キリスト教会にとっては二重の喜びです。今日、２名の兄弟姉妹がわたしたちの教会に加えられたからです。教会堂という建物自体は、お金と頭脳と技術があれば建て上げることができます。その上に豊富な経験があればなお素晴らしいものができるでしょう。しかし、キリストの教会を建て上げるのには何が必要かというと、ひとりひとりが心へりくだり、父なる神の御前に罪を悔い改め、聖霊の助けを頂きながらイエス・キリストを救い主と信じてバプテスマを受けることが求められます。教会というのはこの建物のことではなく、イエス・キリストを信じる信仰の共同体を指しているからです。今朝、わたしたち仙川キリスト教会は２人の兄弟姉妹がその仲間に加えられたことにより、またひとつキリストの体なる教会が成長の節目を迎えためでたい日なのです。
今日はそのように嬉しいことに盛りだくさんな内容を持つ礼拝となりましたので、わたしに与えられた時間を有効に用いるために、与えられたひとつのメッセージを皆さんと分かち合いたいと思います。
ここにバルティマイと呼ばれている視覚障害者がいます。「バル」というのはヘブル語で「子ども」という意味があります。どうも父親の名前の方が人に知られていたようで、ティマイの子と呼ばれています。目が見えないというハンディが彼を貧しくさせたのか、そのあたりの事情は何ともわかりません。とにかく道端に座って物乞いをすることで、その日暮しをしていました。見たところまことに気の毒な身の上です。しかし、何も持っていないどん底の暮らしの彼ですが、ひとつだけ決して手放していないものがありました。神への信仰です。何の希望もないかに見える彼ですが、そうではなかったのです。イエスが彼の住むエリコの町へおいでになったと聞いて、主イエスを呼び求めました。「ダビデの子よ、わたしを憐れんでください。」と。周囲から叱責の言葉が飛んでこようがお構いなしに、「ダビデの子よ、わたしを憐れんでください。」と一層叫び続けるのでした。わたしは先ほど彼は何も持たないように見えるが信仰は失っていなかったと言いました。その理由は彼の叫びです。「ダビデの子」という呼びかけはイエスを約束された救い主と信じていた証です。ダビデは紀元前約１０世紀の頃統一ユダヤの王さまでした。ただの王さまではありません。彼は王と言う絶対的な権力の座にあってもその地位に溺れず、また驕らず、生涯天地の創造主である神の前に謙り、神こそが王の王、主の主である。自分は神の僕に過ぎないと自覚する人でした。聖書は彼の子孫から真の王の王であるキリスト、救い主がお生まれになると預言していますが、事実ダビデの末裔であるヨセフの許婚であったマリアを通してイエスがお生まれになりました。この方こそダビデの子イエス、救い主キリストです。バルティマイの肉眼はふさがれていましたが、霊の目は誰よりもイエス・キリストをはっきりと認めることができました。
祈りともいえるバルティマイの叫びを聞いたイエスは立ち止まり、「あの男を呼んで来なさい。」とお命じになりました。人々は彼に、「安心しなさい。立ちなさい。お呼びだ。」と言いながら、道を開いてくれました。直訳的に読むと、「勇気を出せ、起きよ。あなたを呼んでおられる」ということになるかと思います。口語訳聖書では、ここを、「喜べ、立て、お前を呼んでおられる。」と訳されています。「勇気を出せ」、「安心しなさい」、「喜べ」、いずれの訳もその場の情景が目に浮かぶようです。
「何をしてほしいのか」と言うイエスの問いかけに、彼は率直に願い出ます。「見えるようになることです。」と。ここも原文では、「再び見えるようになることです」とありますから、彼はどうやら人生の半ばで光を失ったものと思われます。すると、主イエスは、｢行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。｣と祝福の言葉と共にその目を再び開いてくださいました。その後、彼はどうしたでしょうか。神の憐れみを受けたバルティマイは、神の恵みに応答する道としてイエス・キリストに従う人生を選び取ったのです。
今朝わたしたちに与えられたメッセージ、それは、神は今もわたしたちの切なる願い、叫び、祈りに耳を傾けて下さるということです。人生の半ばに押し寄せるさまざまな試練や困難は神があなたを見捨てたしるしとは思わないで下さい。突然光を見失うほどの苦しみに襲われたとしても、それはあなたを絶望の淵に追いやることではないのです。むしろ、そこでこそ主に叫び求める機会が与えられていることを思い起こしてください。主はわたしたち一人一人の祈りにじっと耳を傾けて、わたしたちを御そばに呼び寄せて、「何をしてほしいのか」と語りかけてくださいます。あなたの人生にとって大切なことは、これまでの生活がどのようなものであっても、イエス・キリストの救いに与ったこれからの人生はもっと大切な意味を持ちます。あなたもバルティマイと共にこの後、主の弟子に加えられて主に従う者となることが何よりも大切です。それはイエス・キリストを救い主と信じて、キリストの教会に加えられることであります。
聖歌４２２番にこのような１節があります。歌ってもよいのですが、ご迷惑にならないように、歌詞だけを読むことにします。
｢罪思い出さする 涙の夜よ行け
笑みと感謝の朝を われは待てり
われは病みて裸 目はめしいなれど
ただ君 見上げつつ 我行かまし｣
祈りましょう。
天の父なる神さま、あなたのみ名を崇めます。
み言葉を感謝します。バルティマイは表面的には多くの人の同情に支えられて生きているようであっても、その内面は主イエス・キリストに出会うこと、主の憐れみの内に生きる人生の転換期を待ち望んでいました。そしてその願いはかなえられました。
主よ、今朝あなたの御前にあるこの愛する兄弟姉妹の上にもあなたの愛と憐れみと癒しの御手を置いてあげてください。今日、先に救われた者が、後に続く人々に対して、｢勇気を出しなさい、安心しなさい、喜びをもって立ちあがりなさい、主があなたをお呼びですよ｣と声をかける者、祈りを共有する者とならせてください。そしてわたしたち全ての者が、｢あなたの信仰があなたを救った｣という祝福の言葉を頂き、ともに主キリストに従い行く者、イエス・キリストを告白し、証する群れとしてください。
私たちの救主イエス・キリストのお名前によってお願いします。
アーメン。